平家物語

『かぐや姫の物語』のインタビューで、高畑勲監督は本当は『平家物語』が撮りたいんだといっていましたが(※それを鈴木敏夫プロデューサーがかぐや姫に変更させたらしい)、
http://ghibli.jpn.org/report/suzukitoshio-2/
まだいっているのでよほど本心なのでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/type-r/20140118
というか文献(↓)によると、なんと平成狸合戦ぽんぽこ以前からだそうです。
http://www.yk.rim.or.jp/~rst/rabo/takahata/takahataron4.html

5歳年下の宮駿が高齢を理由に引退したのにたいして、高畑監督が引退宣言しないのは、実はこれが理由じゃないでしょうか?

ではなぜ『平家物語』なのでしょう?『竹取物語』では満足して死ぬことはできないのでしょうか?
そして、そこまで高畑勲をこだわらせる平家物語とは、いったいどんな物語なのでしょうか?(※クロ現風 )


「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)
祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず
ただ春の夜の夢のごとし
たけき者もついには滅びぬ
偏に風の前の塵に同じ

【平家物語全文(現代語訳付き)】
http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/heikepage.htm


なんというのでしょうか…一言で言うと『おごれる者も久しからず』の一文に尽きるかと。
ここからは飛躍になるかもしれませんが、共産革命の士として名高い高畑勲監督の本懐は、この『反権力意識』にぴったり合う気がします。

元は参内すら許されなかった武士階級がやがて『平家にあらずんば人にあらず。』とまでおごり高ぶり…、やがて源氏に討伐され水鳥の羽ばたきにさえ怯え没落していくさまは、日本人の精神的古層に宿る『栄枯盛衰からは逃れられぬ』人の世の常。永遠に繁栄を続けようとする資本主義社会に対するカウンター的な物語です。
そぅ、まるでラピュタの科学力は不滅ではないとさけぶ少女のよぅに (`・ω・´)キリッ!

しかし、アニメは一度制作すればやがては世界中の人が楽しめるようになります。映像とは言葉の壁がない素晴らしいメディアです。

特に21世紀はコンテンツの時代ですから、とかく日本文化はわかりづらいとか独特とか変態とか認知されている世界中の人々に、「日本人固有の深層心理はこれなんだ!!」とわかるストーリーを、素晴らしい映像作品(山田⇒かぐやで培ったあの和紙絵柄)で指し示せるようになるというのは、日本人全てにとって他に代えがたい世界文化財となるでしょう。

なので、目先の興行収益は二の次でも構わないというのは、プロとしてはアウトですが歴史的アニメ作家としては一流な高畑勲監督には、引き続き製作続行して戴くべきです。

逆に考えると50億円ドブに捨てれば、100年後の日本の国宝が手に入るわけですから、どこかの財界人がまた「どぅだ、明るくなったろう?」とばかりにイッパツかましてもらえませんかね?原発停止によって日本が1日いくらお金を捨てているか考えれば…※(おっと、高畑監督はたしか反原発でしたね。)

銀閣寺や零戦に誰が出資したかなんてみんなやがて忘れてしまいますが、その形と美しさだけはいつまでも残っているわけですしねぇ…。

※2012年の純損失額は1兆7600億円。(1日約48.2億円。)

映画を作りながら考えたこと 「ホルス」から「ゴーシュ」まで (文春ジブリ文庫)

アニメーション、折りにふれて